客船誘致担当者の憂鬱(続きの続き)

2007.08.12 | Category: General

前回の続きです。

なぜ、全国の港は一生懸命客船を誘致するのか?
・・・というところまででした。

仮定1→客船が入港すると観光客が街に出かけ、お金を落としていってくれる。
「観光消費による経済波及効果」

仮定2→客船が入港すると港が華やかになるから。
「客船は港の華効果」

仮定3→客船が入港すると入港料などの料金収入が入ってくるから。
「港湾経営の側面からの経済効果」
とりあえず、この3つがすぐに思いつきますが、答えはどれか?


答えは、ぜ~んぶ「微妙」です。

仮定1の観光消費による経済波及効果ですが、客船の乗客数は国内最大客船の飛鳥Ⅱでも約700名、全員が日帰りですから、一人2万円落としていっても、1回あたり1,400万円、年に10回入港しても1億4千万円。確かに結構な金額ですが、血眼になってまで誘致する程の金額ではないと思います。

仮定2の「港の華効果」これはお金の面というよりも、心の面でしょうか、子供のころ大きな客船を見に行った、あるいは生まれ育った街にはよく客船が来ていた、などと故郷の印象をより強くする効果、郷土愛の醸成(役所言葉でスイマセン)的なメリットがあります。お金で買えない分、仮定1よりはマシでしょうか。

仮定3に至っては、各港間の競争が激化する中にあって、安売り競争が拡大し、ほとんどタダ同然の港が増えておりますので、効果はゼロに等しいと思います。

では、なぜ客船を誘致して、お客様をおもてなしするのか?

「口コミ効果」 これに尽きます。

団体旅行が限りなくゼロに近づく昨今にあって、旅行形態の主流は個人旅行、ましてや団塊世代の大量退職で、中高年の旅行ニーズはますます高まっていきます。

旅行雑誌、パンフレット類、新聞広告、インターネット、などなど、多くの選択肢を前にしたとき、事前にお友達の口コミ情報があったらどうでしょう?

「この間、客船に乗って函館に行ったんだけど、本当に面白かった」

まずは、函館から調べてみようという気になるはずです。

客船のお客様は、経済的に余裕のある方は非常に多く(本当に多いんです。名刺なんか頂いたらビックリするような方ばかりです)、交際範囲も非常に広い。時間にも余裕があるから、いろんな場所で話をします。

各港の担当の方がどこまで気づいているのか分かりませんが、私はこの「強烈な口コミ効果」を期待して、いろんな仕掛けを考えています。

「客船なんか、大した経済効果はないんだろう?」

確かにそのとおり!

でも・・

きちんとおもてなしすれば、年間8千人(函館に客船で訪れるお客様の数)のセールスマンを雇用したのと同じ効果が得られます。8千人が10人に口コミをしたら、8万人の人が函館に興味を持ってもらうことができるでしょう。

その人が車で、飛行機で、船で、函館を観光し、また良い印象を持ってもらえれば、その効果はもっともっと大きくなるはずです。

「木を見て森を見ず」 
目先の小さな効果にばかり目を取られるとその先の大きな効果が見えなくなってしまいます。観光都市の行政マンにあってはならないことだと思います。

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